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南国の極寒

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南の地方としては極寒と思える寒い日のきのう。
ずっと部屋に籠っていて、横浜におられる先生の声を聴こうと電話した。
幸い息子の嫁も外出中でひとりでお留守番中、お変わりありませんか?との私の問いかけに、まあまあ元気でお婆さんしてます、とのことだった。

声は元々良いほうではないけど、最近ますますだみ声になっておられる先生。

相変わらず口はお達者で、どちらが電話を掛けたのかわからないほど私の出番がない。

本来なら、霧子ちゃんどうお?……、そうねぇ、などと私の話を聞いて下さるのが先生だと思うが、そんなことお構いなしでお話しになる。



でも先生は私にとって長生きをしてもらいたいひとなのだ。

本当ならもっと恩返しをしたいのだが、先生は優しい一人息子夫妻と三人の背高のっぽの男のお孫さんに囲まれて何不自由のない暮らしをしておられる。

電話の中で何度も、霧子ちゃんかわいそうやなぁ、と未だに都会の言葉を話されない先生は、宇和島弁でそうおっしゃる。
私も使わない宇和島弁、「おっとろしや」と何かの相槌の度に連発――。それって最近の宇和島っこは知らない方言だよ。


**
先生と話していたら、懐かしいのと自分が憐れに感じられるのとが入り混じって、なんとなく辛くなってきた。
あまり電話しないほうがいいかも……、と思いながら、思い切って寒い中ちょっと遠くのスーパーへ車で出た。

なんとなくふらっとする体調なのだけど、足りない品物を急いで買って、それから毛糸の帽子も又買った。頭が隠れると途端に可愛く見えるので、最近は帽子をよく買う。

スーパーにはこの間まで薄物だったのに、もうすっかり防寒用の衣類が陳列されていた。

日がとっぷり暮れていたので、車のライトを付けて家路へと向かった。



誰とも話さない日でも、人が沢山いるスーパーへ行くと少しは元気が出る。

買い物が終わったころから心臓がどきどきし始めた。

家に着いて急いで荷物を片づけていたら、電話が鳴った。

先ほどかけた横浜の先生からだ。


ドキドキが止まらないので血圧を測ろうと思っていた矢先。

*さきほどね、嫁が「電話、喪中の方からですね」と言うのでハッと気がついたの。お悔みも言わないですみませんでした。

*いえいえ、先生の声が聞きたくて電話したのですからそんなことちっとも……。

*いえいえ、わたしすっかり呆けてて大事なことを言わなくて……、本当に霧子ちゃん、ひとりで暮らしててかわいそうだなあと思ってね……。


*……いえいえ
*……いえいえ

お互いに何度もこれを繰り返してやっと電話が切れた。


母がいなかった小学生の時期、先生は私のことをとても気にかけてくださっていて、かわいそうな子というのがインプットされていそうだ。

先生もあれから頑張って、今は最高の幸せをつかんでおられて私もうれしい。

先生のことモデルにして小説かきましたよ、と以前言ったら、送ってよ、と言われたけどこれは読ませられない。
勝手に創作していて私なりに満足している短編。


小説投稿サイト「小説家になろう」より
http://ncode.syosetu.com/n5397bm/



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