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折々の記

archive: 2012年10月  1/1

一杯の茶など

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藪北木曾次の丸太小屋に種子という女が訪ねてきたのは二年前。種子は四十も半ばを過ぎているようだったが、その透き通った肌は若い娘に劣らぬ程の艶やかさを保っていた。ごめんください――と大人し気に小屋の戸を叩いて木曾次がボソッとさぁお入りくださいと言うと、彼女はまるで馴れた子犬のように中に入ってきた。木曾次は普段世間の人らと交わることはなく、独りで物を書きそれを出版社へ送って収入を得ていた。遠慮がちに《なに...

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